ジハードの感想

まったく眠れないのでジハードという小説を読んでいました。全6巻のうちの5巻まで読み終えています。イスラム教と第3次十字軍の戦争を書いているのですが、何故かチンギス・ハンが出てきます。露骨にチンギス・ハンとかテムジンって名前ではないのですが、「蒼狼」(「」までが名前です)と呼ばれていたり東洋人というところからバレバレです。Ζガンダムのクワトロ大尉みたいなもんです。「蒼狼」と書いて「ジェイドウルフ」と読むことがまだ救いです。「ブルーウルフ」とかかかれたら新日の冴えないモンゴル人レスラーになってしまいますから。
あとロビン・フッドも出てきます。映画のロビン・フッドも十字軍に参加していた設定ですからそれを意識してるのでしょう。なんとまあスゴイ面子が揃っています。ごった煮です。内容もごった煮です。「蒼狼」が「八門金鎖の陣」を布いてきます。そしてアイバンホー(イギリスの小説の登場人物です。映画にもなってる)がそれを破ります。もうぐちゃぐちゃです。「八門金鎖の陣」の描写は北方謙三の「三国志」の描写に酷似している上に、「はるか昔東洋で使われた陣形に「蒼狼」が改良を加えたものだ。」的な断りがあったので完全パクリ宣言ですね。でも巻末の参考文献には三国志と書かれていません。「これはわかる人だけニヤついてください」という作者の罠だ、気をつけろ。それにしても「蒼狼」が戦争で負ける場面なのですが、いきなり起こった突風で敵が勝機を掴むんですが、これは蒙古襲来時に起こった「神風」を意識してるんでしょうか?「絶対勝てない相手にはもう天変地異でしか対抗できませんよ」ってことなのか?それとも作者が投げ出したのか?まあいいや。
あ、あと「「蒼狼」が実は源義経なんじゃねえの?」的な部分も若干あります。「かつて兄に裏切られて殺されそうになった」って発言してたし。もうね、史実、伝説、ごった煮です。
などと色々批判めいた書き方にも読める感想文ですが、フィクションとしてはおもしろいんで皆さんも読んでみてください。
でも主人公的位置にいるエルシードというサラディンの妹がむかつくのでそれは勘弁だな。